お知らせ
-------2020年 今後の展示予定-------
-------終了した展示-------
・2020 2/1(土)〜2/16(日) ならまち ギャラリーたちばな(奈良)篠原希陶展
・2020 4/29(水・祝)〜5/17(日) うつわや季器楽座(茨城)篠原希陶展
・2020年7月 東武池袋店(東京)篠原希陶展
・2020年8月15日(土)〜23日(日) 四季彩堂(静岡)篠原希陶展
・2020年10月14(水)〜20日(火)大丸心斎橋店(大阪)篠原希陶展
-------終了した展示-------
・2020 2/1(土)〜2/16(日) ならまち ギャラリーたちばな(奈良)篠原希陶展
・2020 4/29(水・祝)〜5/17(日) うつわや季器楽座(茨城)篠原希陶展
・2020年7月 東武池袋店(東京)篠原希陶展
・2020年8月15日(土)〜23日(日) 四季彩堂(静岡)篠原希陶展
・2020年10月14(水)〜20日(火)大丸心斎橋店(大阪)篠原希陶展
ちいさな薪窯を焚く / 笠間×信楽 酒井敦志之×篠原希二人展が出来るまで-8
2011 / 12 / 26 ( Mon ) もうあとわずかの日数で水戸のうつわや季器楽座での
笠間×信楽 酒井敦志之×篠原希二人展 が始まるというのに 私はまだまだ追い込みが続いています。 ついに二人展の為につくった 「ちいさな薪窯」 の初窯を焚く日がやってきました。 この窯は、もうひとつの薪窯である穴窯(あながま、4~5昼夜かけて無釉で土を焼き締める窯)とは違い 灰釉(はいゆう、かいゆう)や粉引(こひき)など釉薬をかけて短時間で いろいろと焼けるようにと作った窯です。 ![]() 完成したばかりの小さな薪窯 窯詰めまでに一度、たき火程度に窯に火をいれましたが とても窯自体が焼けるような温度ではありません。 ぶっつけ本番の本焼成。 おまじない程度にしかならないですが、想定している焼成時間の倍の時間低い温度であぶりを引っぱって窯の湿気を抜くように考えて焚き始めました。 ![]() 前が見えないほど立ち上る窯からの湯気 見た目乾いているのと、焼いてみて出てくる水分は全く別物のようで、窯の窯の天井からだけでなく 窯の下側、そして地面からと ありとあらゆる所から、ものすごい湯気が立ち上って 窯場はお風呂場のようになりました。 ![]() 焚き口で燃える薪 ようやく湯気が見えなくなり始めてきたので、薪をどんどんくべて温度を上げ始めました。 しかし思うように温度があがりません。 「初窯」といえば、私は穴窯の初窯での大失敗のトラウマがあるため(笑)、 温度をあげる事にかなりビビっていたようです。 そのため予定時間はどんどん過ぎてしまいました。 途中から思い直し、薪のくべ方を大胆にし始めたところようやく温度は順調に上がりまじめました。 この日は今年一番の冷え込みそしてクリスマスイブ、空には雪が降り始めていましたが 私はというと温度が上がった窯からの熱の反射で汗をかいていました(笑) ![]() 雪の舞う中、窯の煙突から立ち上るロウソクの炎。 汗をかきながら「ホワイトクリスマスだ~」 と一人でつぶやく、これも忘れられない窯焚きとなりました。 大幅に予定を越えながらもなんとか目的の温度に達する事ができ、窯焚きは終わりました。 果たして焼き上がりはどうなっているでしょうか… ちょうどその日、笠間でも二人展の酒井君を含めたメンバーたちで 薪窯の初窯焚きをしていたそうです。 酒井君の震災で壊れた薪窯の煙突から立ち上った復活の狼煙、 そしてこの窯焚きもまた笠間の震災からの復興へのシンボルの一つとなったのではないでしょうか。 【レポート】 丿貫プロジェクト「初窯」 12月23日~25日 そのまま「オトコだけのメリークリスマス」&「大忘年会」! http://www.ava-cha.com/2011/12/25/4142 みんなが笠間で楽しそうに窯を焚く様子をネットで確認しながら 穴窯のときと同じく、今回も一人で窯を焚いている気持ちがしませんでした。 いよいよ、その日が近づいてきます… ↓参加しています。家に帰ったのは深夜になり子どもたちはすっかりサンタさんを迎える用意をしてすやすや眠っていました。 クリックありがとうございます↓ ![]() にほんブログ村 |
水戸うつわや季器楽座へ搬入 / 笠間×信楽 酒井敦志之×篠原希二人展が出来るまで-9 最終回
2011 / 12 / 31 ( Sat ) 今日は大晦日。
そして年明け2日はついにこの二年の出来事を凝縮した展示が始まります。 うつわや季器楽座 笠間×信楽 酒井敦志之×篠原希二人展 先日は水戸のお店まで車で搬入に行ってきました。 ![]() うつわや季器楽座 外観 店に到着するといつものようにオーナーご夫婦が笑顔で迎えてくれて おいしいコーヒーを入れてくれました。 ![]() 店内から見えるケヤキの巨木や竹林の姿を眺めながらいただくコーヒーはやはり最高でした。 前回このお店にきたのは、4月。 この二人展はどうなるのかと、考える余裕も無くただただ皆さんの笑顔に 何を言ったのかも覚えていないほど体がしびれてコーヒーを飲んでいたのを 思い出していました。 「ついに実現できそうですね!」 と私はいいながらも胸が熱くなってきました。 今回は年末という事もありますし、オーナーご夫妻に展示をお任せする事になっているので 搬入が終わったらすぐに信楽に帰るつもりをしていたのですが 私の気持ちを知ってか オーナーは酒井君に連絡を取っていてくれたらしく ほどなく彼は準備の忙しい中お店までやってきてくれました。 がちっと握手しながら彼に感謝の気持ちを伝えました。 「大丈夫です!展示までに窯の修理は間に合わせます!」 震災後に会った時の、彼のあの力の籠った言葉が無ければ、この日が来る事は無かった。 あのとき、本当になんなくする事のような、本当にあっさりとこたえていた彼でしたが きっとその後の日々はまさに激闘だったのだろうと彼の顔のそこここに見える様子を感じた私は また、胸が熱くなりましたが、なんとかこらえる事ができました(笑) 信じられない事ばかりが起こった2011年。 被災していない私でしたが、酒井君に習ってレンガを積んだ年でした。 命も生活も価値観もすべてひっくりかえるような、圧倒的な出来事のなか ものを作る事、このレンガ一つを積む事はいったいどこに繋がっていくのか… だれも気付きもしないような作業でもれんが一つ積む事が出来たなら その先には必ず誰かの笑顔や幸せに繋がって行くよう願いを込めながら、 ひとつひとつ想いを込めて積んで行きました。 生死に関わる出来事のさ中、私との二人展を実現するときめてくれた彼の想いに応えたい。 その想いを持って過ごしてきたこの期間は私にとってかけがえの無い時間となりました。 ![]() 大晦日の今日。 たくさんの情念を受け止め具現化する手助けをしてくれた 私の小さな穴窯を掃除して、お供えをして。 手を合わせ… 奇しくも今年は私が信楽に来て20年目の年。 一生忘れる事の無いこの瞬間を大切にしてこの年を見送りたいと想います。 ついに年が明けて2012年1月2日 二人展が実現します。 ありがとうございます季器楽座さん ありがとうございます酒井くん。 ありがとうございますたくさんの皆様。 9話まで続いた「二人展ができるまで」も今回が最終回です! ↓参加しています。酒井君とは初日に並んで展示を見ながら泣くつもりだったのですが、今回会えましたので泣かずに済みそうです!だいじょうぶ!(笑) クリックありがとうございます↓ ![]() にほんブログ村 |
初日実現!-1 / 土に魂を宿す二人展 酒井敦志之×篠原希
2012 / 01 / 06 ( Fri ) 2012年1月2日。
ついに水戸市 うつわや季器楽座(ききらくざ)にて笠間の陶芸家酒井君との二人展、 うつわや季器楽座創業15周年特別企画 土に魂を宿す二人展 酒井敦志之×篠原希 2012年1月2日(月)-1月22日(日) がはじまりました! ![]() 案内冊子表紙のカタマリたち(今回の案内状は8ページの冊子になっています。全ページはここで見られます。→クリック!http://anagama.net/pottery/kikirakuza2.html) 3月11日未曾有の災害を引き起こした地震により、笠間の陶芸家酒井君の薪窯は窯焚き中に被災し 破壊されました。 それからたくさんの仲間たちと協力しながら窯を復活。 初窯を焚き上げ、 彼は震災後に私と約束した通り、本当にこの会場に作品を間に合わせました。 初日当日。 私は夜がけて車で出発。開店後に水戸に到着しました。 ![]() 会場のうつわや季器楽座(ききらくざ)外観 エントランス付近には笠間の陶芸家酒井君の復活した初窯で焼かれた 破れ大壺にお正月の生け込みが、みごとに飾られています。 ![]() 破れ大壺にお正月の生け込み 入り口ドアの左下に目をやると私の火色大皿(ひいろおおざら)にも植物が。 ![]() 火色の赤に苔の緑のコントラスト。 今回はいつものギャラリースペースだけの展示ではなく、 常設展示の作品を撤去しての全スペースを使っての展示です! ![]() 通常は常設展示のスペース。ここも今回二人展展示になっています。 これまで酒井君はごく短期間のうちに窯の復活、そしてその窯を作りながらの 作品作り、そして初窯を成功させてこの展示に向かわなくてはならず その困難を想像しながらここまできました。 ![]() 店内では松竹梅の大きな生け込み。蝋梅のとてもいい香りが店内に。 その横にあるのは酒井君の地震に耐え生き残った大壺。 私自身、自分を追い込み制作しながらずっと考えていたのは、 「初日がもし実現できたら、初日の朝に季器楽座オーナーと酒井君、 そして私三人で作品の並んだ会場を見回して、泣こう!」と その為に自分もそれまで出来る限りの力でがんばろうと そう心に決めていました。(笑) ![]() 通常の個展ギャラリースペース入り口 しかし、私が到着して間もなく、たくさんの常連のお客さま、そして笠間や益子の陶芸家が来場してくれました。 その中に紛れるように(笑)酒井君も奥様と登場。 握手して実現の喜びを分かち合う間もなく その後途切れる事無くお客さまが続いてくださり、その日ついに三人が並ぶ事は一度もありませんでした。 私の初日で泣く為にがんばる!という思いは叶いませんでしたが それで良かったのかもしれません。 朝早くからこの展示を楽しみに来場してくれた陶芸家たちと 『やりましたね!』 お互い声をかけながら握手しました。 彼らは酒井君の破壊された窯を復活させる作業を共に汗を流し、見守り、手伝ってきたひとたち。 酒井君のこの短期間での窯の復活、初窯焚き、そしてこの展示にまで漕ぎ着けた事を シンボリックな事としながらも、酒井君と同じように皆も、規模の違いはあれど被災している。 今も共に余震や原発の不安と闘ってる。 そんな思いや時間をくぐって、今日の初日。 彼らが本当にうれしそうに居並ぶ二人の作品をみながら、 何人もの人が涙をながす様子をみました。 これまで酒井君と寄り添ってきた彼らの苦労も この会場で一つの形になった事を、一緒になってこころから喜んでくれているのを ひしひしと感じました。 その様子を見ながら私はずっと体がしびれていました。 苦労した彼らの中に私もここに立ち会わせてもらった事に。 しあわせな気持ちで、胸がいっぱいになりました。 泣くほどうれしい初日、それも来場者といっしょになって喜べる初日。 そんなことはもう一生無い体験なのかもしれません。 ありがとう酒井君実現への血のにじむ努力を知っています。 いまもあの力強い『出来ます!』は耳に焼き付き、消える事はありません。 ありがとうございますオーナーご夫妻。日に陰に酒井君を励まし応援し続けてくださった。 そしてたくさんの皆さんのこころと行動に、深い敬意と感謝を。 万感の思いを胸にしつつ …ついに初日は実現しました! つづきます。 二年越しに実現したこの二人展は震災の大きな出来事を含んで オーナーと酒井君二人と、そして彼らに寄り添ったたくさんの人たちの思い、そして私の想いを 土に込めて作品にしました。 是非ご高覧賜りますようご来場こころよりご案内申し上げます! 創業15周年企画 土に魂を宿す二人展 酒井敦志之×篠原希 期間 : 2012年1月2日(月)-1月22日(日) うつわや季器楽座(http://kikirakuza.com/ ) 場所 : 〒310-0847 茨城県水戸市米沢町195-3 Tel/Fax 029-246-1411 10:00~19:00 月曜日定休(祝祭日は営業いたします) info@kikirakuza.com http://www.kikirakuza.com ![]() 入り口すぐ横に展示されている焼締茶碗。 これは私が二年前の季器楽座での個展作品をお客さまが購入してくださったもの。 震災で壊れ、12のピースにバラバラになったものを金継ぎして繋ぎ合わせ展示してくれています。 ↓参加しています。 オーナー。私を泣かそうとしてますね。 クリックありがとうございます↓ ![]() にほんブログ村 |
初日実現!-2 展示風景/ 土に魂を宿す二人展 酒井敦志之×篠原希
2012 / 01 / 09 ( Mon ) ついに実現を迎えた二人展。
初日の会場早々から、たくさんのお客さまがご来場くださいました。 みなさん今回の二人展が出来る事の意義をすでに知ってくださっていて、 本当にありがたかったです。 ![]() 茨城県庁そば うつわや季器楽座(ききらくざ)外観 会場となっているうつわや季器楽座の特徴として 併設したカフェがあります。 うつわをゆっくり見ていただいて、カフェからの借景の竹林や ケヤキの巨木をみながらコーヒーが飲めるとてもステキなお店です。 そのカフェスペース奥に突然茶席出現! 東京から駆けつけてくださった茶人近藤さん(アバンギャルド茶会)が、 カフェスペース奥で「ぐい呑茶会」を開いてくださり お客さまをもてなしてくださいました! ![]() ぐい呑茶会での近藤さん。 ![]() お菓子は酒井君の奥様、さとみさんの手作り。 ブラウニー、洋菓子なのに重箱に入っていてお正月の雰囲気になってます。 酒井君と私も二人並んでぐい呑茶会を体験させていただきました。 酒井君の奥様、さとみさんの手作りお菓子をいただいて 片口でたてたお茶をぐい呑に注ぎ、いただきました。 とてもおいしいお菓子を、和みながらいただけました。 お茶をいただいた後もさわやかな、余韻が長く残るような感覚がありました。 前からずっと一度体験したいと思っていましたので、うれしかったです! その後も、どんどん後から来てくださるお客さまに、お昼ご飯も食べる暇無く 私たちと一緒にお店に残ってくださり、お茶を振る舞ってくださいました。 本当にありがとうございました! ![]() ギャラリースペースでの展示風景 展示作品をご紹介します。 冊子には載っていない壷を。 まずは酒井君が再建した穴窯の初窯で焼き上げた大壺。 ![]() 酒井敦志之作品 焼締大壺 とても静かですが、おおらかな形と肩にかかった燃料の薪の灰の溶けた色と土の肌の色の コントラストがきれいで、じっと見ていると引き込まれます。 酒井君自身のイメージを壷にそのまま写したような壷に私は思えます。 次に私の壷です。 ![]() 焼締扁壷(やきしめへんこ) 丸では無く変則的な形をした壷を扁壷と私は呼んでいますが この壷は成形時は丸い口の壷だったのですが、窯詰めしたときに熱がかかるように考えて窯詰めし、 焼成中、炎の熱が壷に掛かって行く事で最終的に、口がたわみ、変形するように焼いたものです。 写真の背中側になっているところで溶けた燃料の灰は熱で溶かされ、正面の口元あたりまで流れて玉状に溜まり 5つの「トンボの目」の状態になっています。 今回の展示のメインテーマは「土」となっています。 お互いが産地で制作し、土の素材感を引き出すために薪窯を使って焼いています。 大阪出身の私は信楽に焼き物を仕事とする為に住むようになりながら、 「信楽の土とはなんぞや」 という考えを長い間もたないままに制作している事に気がつきました。 それからようやく、「そもそも信楽の土の特徴っていったいなんだろう」という問いをつかむために 意識して制作するようになりましたが その過程で他の産地、笠間や益子の若手陶芸家の中にも地元の土の素材感を引き出そうとしている 陶芸家がいる事を知りました。 酒井君もその一人です。 今回の企画の最初に上がったテーマが ・それぞれの使用してる土を原土のまま展示する土塊(カタマリ)をつくる というものでした。 (その他に上がった展示テーマはこちら) それぞれの産地の土のそのままの姿を 「カタマリ」 として焼き、展示するこというものです。 ![]() 穴窯で焼かれる前の「土塊(カタマリ)」 焼き上がったカタマリはギャラリースペースの真ん中に展示されています。 笠間、信楽それぞれの土味の違いや特徴を見ていただけたらと思います。 ![]() 展示された土塊(カタマリ) つぎに ・お互い製作に使っている土を交換して自分の窯で焼く というものです。 この企画もカタマリとともに早くから決まっていた事で 酒井君と信楽と笠間の原土を交換していました。 ![]() 私が酒井君に託した信楽の原土 ![]() 私が彼から譲り受けた笠間の原土 地元では「かなぐされ」と呼ばれる筒状の鉄分の塊がたくさん入っていてびっくりでした! カタマリではお互いの原土を半分半分くっつけて 焼き上げたものも展示しています。 ![]() 左半分が笠間の原土、右半分が信楽の原土です 収縮率、鉄分の違い、灰と土との反応の違い。 とてもおもしろく焼き上がっています。 9月信楽ミーティングのとき、酒井君は季器楽座オーナーとともに信楽にきてくれました。 そのときに酒井君は私の陶房で信楽の土を使い、蹲壷(うずくまるつぼ)とぐい呑を制作し その作品はその後、私の穴窯で焼き上げました。 ![]() 昨年9月の信楽ミーティング。 ひとしきり宴会でお酒を呑んだ後に『つくろうか!』となり、酔っぱらいながら三人ワイワイ作っている様子。 左から私、酒井君、オーナー。 ![]() 出来上がった蹲壷。左、篠原作、右、酒井作。 焼き上がった酒井君の蹲壷は私の震災で割れた茶碗をオーナーが継いで直したものと並んで展示されています。 ![]() 展示された酒井君の蹲壷。 そして、酒井君に分けてもらった笠間の原土をつかって 私は何点か作品にしました。 その一つがこの蹲壷です。 ![]() 笠間原土で作った蹲壷 酒井君が信楽ミーティングで作った信楽土の蹲壷と並べて穴窯に窯詰めして、4昼夜強烈な炎で焼かれ 薪の灰がかぶって熱で溶け、壷は炎の当たる向きと反対方向に焼き曲がっています。 笠間原土に含まれた「かなぐされ」が熱で溶けて、ところどころに穴が空き、 そこから鉄が溶け流れていてとても面白い景色です。 そして、最後にご紹介するのが 「対決」 です。 これも企画の早いうちに決まったものでしたが、ミーティングを重ねるうちに どんどんと盛り上がって、最終的には 「ふたりの作品を隣り合わせで置いて、星取り表を貼る!」 というところまでになりました(笑) ![]() 対決のアイテムの一つ「陶匣(とうばこ)」 2つの作品の間には星取り表があり、お客さまが好きな方にシールを貼ることになっています! 陶匣のほかにも 1.大壺 2.焼締茶碗 3.水指 4.片口とぐい呑 5.陶匣(とうばこ)6.板皿 7.徳利とぐい呑 8.引出黒茶碗(ひきだしぐろちゃわん)9.土塊(カタマリ) と、これだけの作品が対決対象になって会場に並べられています。 ぜひ、ご来場くださり清き一票を投じてくださいませ! 数々の企画を盛り込んだこの二人展。 企画内容はカタマリや原土交換など震災前に決まっていたものもありますが 半分以上の企画は震災後、酒井君の窯が地震で破壊されたままの状態で決められたものです。 もともと震災以前に決まっていた事も震災後再会した酒井君の 「出来ます!窯の修理、間に合わせます!!」 という言葉を受けて、内容をさらに強化したものとなっております。 その力強く明るい彼の言葉が無ければ 展示そのものも実現する事もありませんでした。 彼の強さに私は打ちひしがれる思いを持ちながらも 彼に負けないよう、逆に彼を挑発するようにたくさんの企画を盛り込みました。 (今思うと鬼のようですな…) 彼は窯が壊れたままなのに、どんどん盛り込まれる企画内容にも、恐れる事無く立ち向かい 本当に窯を再建、作品制作して初窯を焚き上げ、見事に会場に持ち込みました。 本当に実現した様子をみながら私は涙がでました。 作品を眺める彼の後ろ姿には、彼を一緒になって支えたオーナーの姿や たくさんの仲間たちの姿が見えてきます。 こころの中で拍手していました。 ありがとう、ありがとう酒井君。 あなたの強さに私は何度も励まされ、この日を迎えました…! 二人展の展示は 2012年1月2日(月)-1月22日(日)までとなっております! ぜひ、会場にお越しになって 私たち二人と季器楽座オーナーの思いのこもったカタチを見ていただけますと幸いです! 創業15周年企画 土に魂を宿す二人展 酒井敦志之×篠原希 期間 : 2012年1月2日(月)-1月22日(日) うつわや季器楽座(http://kikirakuza.com/ ) 場所 : 〒310-0847 茨城県水戸市米沢町195-3 Tel/Fax 029-246-1411 10:00~19:00 月曜日定休(祝祭日は営業いたします) info@kikirakuza.com http://www.kikirakuza.com ↓参加しています。 本当は笠間の初窯出しのことや、初日の夜に酒井邸でのお祝パーティーなど書きたい事がいっぱいあるのですが、書きたい事があり過ぎでなかなかまとまりません…。はやく書いていきたいです。 いつもクリックありがとうございます↓ ![]() にほんブログ村 |
初日実現!-3 お祝いパーティーと初窯出し/ 土に魂を宿す二人展 酒井敦志之×篠原希
2012 / 01 / 12 ( Thu ) たくさんのご来場者が来てくださった初日も日が暮れて。
![]() うつわや季器楽座外観 無事に初日がおわりました。 ![]() 水戸市 うつわや季器楽座展示風景 昨年九月にあった信楽ミーティングのときに 酒井家の宿泊をおねがいしていました。 搬入時にさっと帰ったのもその楽しみを取っておく為でした。 さて、酒井君とともに水戸から一路、笠間市へ。 ほどなく到着。思っていたよりかなり近く感じました。 信楽からよく行く湖岸の大型ショッピングセンターへ買い物に行く程度の距離感。 近くでうらやましい。 到着してすぐさまお風呂を私だけいただき(笑) 待っていると、たくさんの笠間の陶芸家たち、そして初日大活躍してくださった茶人近藤さん そしてうつわや季器楽座のオーナーご夫妻も集まって とても楽しいお祝の会と成りました。 ![]() 笠間の陶芸家たち、東京の茶人、季器楽座オーナーご夫妻も加わって初日開催のお祝い 酒井君の奥さんはたいへんお料理が上手な方で、初日のブラウニーのおいしさにも 驚きましたが、季器楽座15周年をお祝いしてなんと登場 鯛の塩竈料理! ![]() 鏡割りならぬ、塩竈割り! オーナーに木づちが手渡され、鏡開きのようにコーンと打ち割って みんなで拍手してからおいしくいただきました! ![]() おいしかった鯛の塩竈 近藤さんからはお祝のシャンパンを。 ラベルに『1+1=3』 ![]() お茶人近藤さんからのお祝いシャンパン。1+1=3 ! まさに今回のできごとを祝うすてきな贈り物でした。 自分には酒井君とオーナーがタオルを頭に巻きながら、汗を流して窯を再建している姿や レンガのモルタルを一つ一つ剥がす友人たちのすがた、それをささえる奥さんの姿が どんどん脳裏に浮かびました。 単純な足し算では不可能に思える事が、今回それを越えて行くような力が生まれて出来上がったんですね。 その会ではずっと私の斜め前に座っていた笠間の陶芸家沼野秀章氏がいました。 彼がもしいなかったら、この二人展はできなかったかもしれません。 彼は震災後twitterで酒井君や笠間や益子の状況を逐一、上げてくれていた人で 本当に何度も助けられた人です。 この二人展の出来るまでも最初から知っていてくれ、酒井君のピンチを何度も一緒にくぐり抜けてきた キーマンです。 震災後酒井家に訪れたときも駆けつけてくれ、歓迎してくれました。 宴会の間彼はずっと私に 「本当に実現できて良かったですね」 何度も声をかけてくれました。 かれに喜んでもらえる為にもがんばろうと思ってきた私は 彼に声をかけられるたびに、涙が何度もこぼれそうになりましたが、 なんとかメンバーの下ネタに救われて、泣かずにすます事に成功しました(笑) 笠間や益子の現状などいろんな話を聞く事が出来ました。 みなさん被災の規模の違いはあれど、地震当日から大変な思いをしたのを聞きました。 そしていまも闘っているのが伝わってきました。 みなさんありがとうございました! そして次の日は ![]() 二日酔いにやさしい朝ご飯。 酒井さんの奥さん本当に何から何までお世話になりました! ありがとうございました! 朝、出発まえに 再建された酒井君の窯をようやく見せていただく事が出来ました! ![]() 再建が成った酒井氏の穴窯 「少し前より幅も高さも小さくしました」 と伺ったその新しい穴窯は、 みなさんの手にしたひとつひとつレンガが光って見えるようです。 震災後、ここに来たときは壊れた窯の様子をとても直視できずに帰りましたが 今回はしみじみと感激しながらゆっくりと見せてもらう事が出来ました。 ようやくここまできたんだなあと我が事のように感じてじーんとしました。 (私はいっさいお手伝いできてません。スミマセン…) そしてこの日は お茶人 近藤さんが買った(!)薪窯の初窯出し日ということで 私も参加させていただく事に。 詳しくは近藤さんのサイト(アバンギャルド茶会) 丿貫プロジェクト http://www.ava-cha.com/category/tweet/hechi 私も近藤さんたちの窯焚きに是非参加したかったのですが 12月24日の日、私も信楽で二人展用に作った薪窯の初窯を焚いていました。 ネットで皆さんが笠間で楽しそうに窯を焚いている様子を見ながらの笠間信楽同時窯焚きでした。 さて、窯開き。 ![]() 初窯の窯だしを喜ぶメンバーたち 茶人近藤さんが陶芸家はだしの窯出しの手際よさ! ![]() 近藤さんのかまだし びっくりして私が 「近藤さん慣れてますね~!」 というと 「いえ、初めてです!」 と元気よく応えました。 すごい… ![]() 窯出しされたうつわたち 10名近くのメンバーで焼かれたうつわが並べられ、見ているだけでも楽しいです。 ひとつひとつ見せていただいている時、 山形から来られたいた陶芸家が 「お一つ記念にどうぞ!」 と言ってくださいました。 かなり物欲しそうな顔をしていたのだと思います。 すみません。 大変恐縮しながらもひとついただきました。 すると… あとからあとから 「自分のもどうぞ!!」 とくださるではないですか。 その場に鏡が無くてよかったです。 いったい自分はどんな顔をしていたのだろう… みなさんありがとうございました! ![]() いただいたうつわたち 大切に使わせていただきます! その後 さらに酒井君に 益子まで足を伸ばしてもらい 酒井君と同じように被災し窯が壊れ、現在再建中の陶芸家に会う事が出来ました。 ![]() 再建中の益子陶芸家の窯 彼も、益子周辺の土を使って焼締を焼くため薪窯を使用してる作家です。 以前から本などで紹介されていて大変興味をもっていたのですが 初日に二人展を見にきてくださり 「よかったら益子にも来てください」 との言葉を真に受けて(笑)ずうずうしくもすぐお邪魔させていただきました。 ネットで拝見していたよりも大変大きな窯で ほとんど一人で作業されているという事でしたが、次の個展に間に合わせるべく 彼も懸命に闘っているのが伝わってきました。 本当にすばらしいです。 酒井君や友人たちのお陰で 本当に貴重な体験をたくさんさせていただいたこの日々でした。 みなさんとのすばらしい出会いにこころから感謝申し上げます! これで、二人展開催のレポートを終わります~ ![]() ↓参加しています。 会場には酒井君が被災し窯が壊れた様子から、再建初窯を焚き上げるまでのようすがアルバムになっています。三日目になってからようやく見る事が出来たと私が彼に話すと「自分もまともに見たのさっきです」と酒井君。本当に大変だったのが伝わります。 クリックありがとうございます↓ ![]() にほんブログ村 |
レンガを積むことの意味 / 窯変耳付花入(ようへんみみつきはないれ)
2012 / 01 / 20 ( Fri ) 先日、茨城県水戸市で開催中の二人展の中日に三日間在廊することができました。
またまた酒井君の家にお世話になり(今度は家族ごと)(笑) 朝は酒井君の車に乗せてもらって水戸の会場に向かいました。 笠間から水戸へ向かう道中、オーナーからの電話でお客さまのご夫妻(Aさん)がいらしてくださっていると教えてもらいました。 お店に到着。季器楽座に併設されているカフェでゆっくりしながら A様とお話しすることが出来ました。 初日にも駆けつけてくださったAさんご夫妻。 展覧会前からカタマリに興味を持ってくださり 私の信楽土のカタマリを選んでいただきました。 ![]() 酒井敦志之×篠原希二人展表紙 今回のテーマになっている、笠間の原土、信楽の原土を固めて焼いた土塊(カタマリ) このカタマリは季器楽座オーナーに「原土を固めただけのものを焼くカタマリ」の企画を聞き、 私がはじめて作った第1個目のカタマリでした。 Aさんご夫妻はこれまでも、私が穴窯で初めて試みた作品を沢山の展示作の中から いつも見抜かれ、選んでくださいました。 その中のひとつとして、私が作った 窯変耳付花入(ようへんみみつきはないれ)があります。 ![]() 窯変耳付花入(ようへんみみつきはないれ)2003年撮影 今回出品したカタマリの第1個目が出来た経緯について話している中で 以前に作ったこの花入の話になりました。 この花入が焼き上がったのは2003年。 まだ当時の私は自分の穴窯をもっておらず 若手陶芸家の仲間数人といろんな場所の登り窯、穴窯を借りて焼締作品を焼いていました。 ![]() 窯変花入 いつものように皆で窯を焚き、窯を出していたとき、この花入が窯出しされました。 この花入を見た時に私は薪の灰と土とだけででる、不思議な色に驚きました。 そして、これを偶然ではなく自分のものにしたいと初めて考えるようにました。 「自分の穴窯を作ろう!それまで借り窯をして焚くことはもうやめよう」 と決意しました。 この花入はそのきっかけとなったものです。 Aさん夫妻に私が穴窯を作るきっかけになったこの花入の話をすると ぜひこの花入をみたいと言ってくださりそのままAさんの元に行くことになりました。 「毎日飾ってみてるよ~」 と会うたびにお話ししてくださり、本当にうれしかったです。 しかし昨年3月11日、東日本大震災。 Aさんの住まわれる茨城県は3月11日の地震で大変な被害の出た地域でした。 数日経って、ようやく電話が繋がったときは家も家族も無事ですと聞くことができ、 その後もお手紙などもいただき 本当に安心しました。 しかし当日は 仕事に出られていたご主人が 「もう妻も家も無事かわからないくらいの揺れだった」とおっしゃるほどの状態。 その大きな地震の中 家におられた奥様は私のこの花入を抱えて割れないよう守ってくださったそうです。 「だってきっかけになったこの花入はもう二度と作れない花入でしょう?」 と奥様は明るく笑いながら私におっしゃってくださいました。 ビリビリと電気が流れたように全身がしびれました。 一体どのようにこの気持ちを表せば良いのか。 しばらく私は2人を前にして、急激に感情が高ぶって絶句しました。 命にかかわる出来事の中で、私の花入の話を思い出してくださり それを守ってくださった。 感謝の思いと衝撃がこころに渦巻いて目が熱くなりました。 今回の二人展。 酒井君やうつわや季器楽座さんが数々の困難を乗り越えてこの展示を実現したことを 知っています。 会期前、私が彼らの努力に報いるようなことが出来るか、 同じ会場で酒井君とともに作品を並べる資格が本当にあるのか ずっと悩んできました。 被災し復活に闘っている酒井君と被災していない自分が水戸で二人展をし、それをお客さまに見ていただいた時に どんな風に見てもらえるのだろうと。 小さな薪窯を新たに作って、展示に臨んだことも その答えを探してのことでした。 ![]() 全く自分の都合で作ることに決めたので、作りながらもいろんなことを考えていました。 このレンガを積むことはどんなことに繋がって行くのだろう。 今回その答えをAさんご夫妻は私に示してくださいました。 そして来場くださったたくさんの皆さまにも本当にたくさん教えていただきました。 物事の価値観すらも変えてしまうような圧倒的な出来事のなかでも レンガを一つでも積むことに意味を感じ、作ることを続けてその先に繋がって行くものを 信じられるように思います。 本当にありがとうございます。 こころの奥底にまた一つ大きな楔を打ち込んでいただきました。 さまざまなことがあったこの二人展も 最終日まであと2日間です。 皆様のご来場、ご高覧こころよりお願い申し上げます! ↓参加しています。 今回の水戸への旅では、長年連れ添って来た黒のバンが故障してあわや中止か?というところだったのですが、親切なJAFの対応、すばらしい修理工場のメカニックのおじさんのお陰で短時間で車が直り、会場に着くことが出来ました。もし直らなかったら、今回の一生忘れられない体験はできませんでした。みなさん本当にありがとうございました。 クリックもいつもありがとうございます↓ ![]() にほんブログ村 |
たたかい終わって…二人展終了しました!/土に魂を宿す二人展 酒井敦志之×篠原希
2012 / 02 / 08 ( Wed ) 2012年1月2日(月)-1月22日(日)の日程で開催されていました
茨城県水戸市 うつわや季器楽座 土に魂を宿す二人展 酒井敦志之×篠原希は無事に終了しました。 ![]() ご来場くださいました皆様誠にありがとうございました! いろんな企画が盛り込まれた今回の二人展ですが 二年前、最初に季器楽座オーナーが提案されたのが 「薪窯(まきがま)対決をする!」 というものでした。 その結果が出ました! ![]() シールの貼られた星取り表。沢山の来場者が参加くださいました!ありがとうございます! 対決対象に決まったのは以下のアイテム。 1.大壺 2.徳利ぐい呑み 3.焼締茶碗(やきしめちゃわん) 4.片口(かたくち)酒器ぐい呑み 5.水指(みずさし) 6.焼締大皿 7.重箱 8.引出黒茶碗(ひきだしくろちゃわん) 2人の同じアイテムの作品を会場に並べ、その真ん中に星取り表をおき 来場くださった皆様に好きな作品の方にシールを貼ってもらいました。 その結果は…! (投票結果はうつわや季器楽座webより転載させていただきました。詳しくはこちらのページへ) 1.大壺 ![]() ![]() 酒井敦志之 焼締祭器 122票 篠原希 焼締大壺 99票 棄権 9票 2.徳利ぐい呑み酒器 ![]() 酒井敦志之 焼締徳利ぐい呑み 70票 篠原希 引出し徳利ぐい呑み 154票 棄権 6票 3.焼締茶碗 酒井敦志之 焼締茶碗 83票 篠原希 窯変茶碗 137票 棄権 10票 4.片口酒器ぐい呑み 酒井敦志之 焼締片口酒器ぐい呑み 118票 篠原希 引出し片口酒器ぐい呑み 112票 棄権 0票 5.水指 酒井敦志之 焼締水指 64票 篠原希 焼締水指 157票 棄権 9票 6.焼締大皿 ![]() 酒井敦志之 焼締板皿 142票 篠原希 火色板皿 86票 棄権 9票 7.重箱 ![]() 酒井敦志之 焼締三段重箱 139票 篠原希 焼締五段重箱 84票 棄権 7票 8.引出黒茶碗 酒井敦志之 引出し黒茶碗 119票 篠原希 引出し信楽黒茶碗 108票 棄権 3票 8番勝負。対決の結果は…! 酒井敦志之 5勝 篠原希 3勝 …負けた! う~ッん悔しい! 対決企画の事をはじめて季器楽座オーナーに聞いた時から、 三人でアイデアを出し合い、その後 どんどんと話は盛り上がり、最終的にこのような形になりました。 実際に会場に2人がつくった同じアイテムを並べてみると 性格の違いなど、出発点が違う事で土の捉え方や最終の焼き上がりまでの違いが はっきりと出ていて、私も大変勉強になりました。 今回アイテムの中にうつわは含まれていませんでしたが、酒井氏のうつわには顕著にその良さが現れていると感じました。 実は… この対決は会期前から私はなんとしても勝たねばならない!と意気込んで臨みました。 その理由は、今回の展示企画は二年前から始まったものでしたが 昨年の3月11日、未曾有の災害により酒井氏の穴窯は被災、それまで作って来た作品も破壊されて 今回の二人展に臨む為には作品を作る前にまず、窯を再建するところから始めなければならなかった為です。 窯を再建、搬入日に間に合わせたとしてもひと窯焚くのがギリギリ。 それも初窯の一発勝負は、同じく窯を自作してなおかつ初窯を失敗した経験を持つ私にとって どれだけプレッシャーが掛かり難しい事か、想像できた事でした。 それに対して、私は被災しておらず焚き込んだ自分の窯を使って焼き上げる訳ですから 同じ舞台に立つには条件があまりにも違い過ぎ、悩む事もありました。 そのため私は量も出来もしっかりして、勝負に関しても圧倒しなくてはならない。 そのことで酒井氏のリベンジの機会を作るための存在になるのだ! と意気込んでいたのです。 しかし、思いは叶わず、結果は残念ながら敗北…! 自分の力量不足に歯がゆい思いです。 (私の作品に投票くださったみなさま本当にありがとうございました!) しかし負けて悔いは有りません。 私は今の全力をかけてこの二人展に取り組み、その結果がこうであったというだけで 仕方ないとおもっています。 かたや、酒井君の作品は彼の力量もさることながら、窯の復活にかける思いや、 それを支えた彼を応援して励まして来たたくさんの仲間たちの姿と想いとが、 作品ひとつひとつに乗り移っているようにも感じました。 なんだか昔剣道をしていたときの、ライバルとぶつかり合って試合に負けた後のような清々しさがあります。 大人になったいま、仕事として焼物をやってきてこんな体験ができるとは 思っても見ませんでした。 本当に投票にご参加くださった皆様、ありがとうございました! これもこの二人展で体験させていただいた素晴らしい出来事のひとつです。 感謝申し上げます。 いただいたご意見はこれからの作陶の課題として 今後の作陶に必ず繋げていきたいと思います! ついに二年の期間とたくさんの出来事を含んで実現したこの二人展も幕を閉じました。 もうこの展示内容に関する事をこれから書く事が無いと思うと寂しくて仕方が無い今ですが 展示も終わってだいぶ経ち、ようやく二人展のエンディングを書く気が出てきました(笑) 展示が終わる事が寂しくて仕方ない。 いままで展示をしてきてこういう気持ちになった事は有りません。 この企画が持ち上がったのが二年前。 しかしこの二年という期間に震災という大きな出来事があり、 酒井君の窯が被災し大破。そこからの酒井君の窯の復活、 季器楽座のお店のクローズ…再開。 ![]() 再建中の酒井氏の薪窯 震災から立ち上がろうとする皆さんの姿を横目に見ながら 自分はその大きな意味に自分がどう立ち向かって行けるのか。 悩みながらも全力で臨み、そして酒井君は期日にきっちり作品を焼き上げ会場に持ち込んだ。 窯が出来上がったのはすでに会期一ヶ月を切っていたのにも関わらず。 初日2人の作品が並んだのを見た時は体が震える思いでした。 沢山の酒井君の仲間が初日を一緒に喜び、涙する姿を見ました。 一生耳から離れる事がないであろうあのときの 『大丈夫です!出来ます!』 の酒井君の声。 無我夢中で過ごしたこの数ヶ月。 それがついに展示の最終日という一つの節目を迎ました。 みなさな本当にありがとうございました! ![]() 信楽ミーティング ![]() 相棒。黒いバン。 ↓参加しています。 今回の二人展の終了を見送るように、長年連れ添って来た黒のバンともお別れする事になりました。愛着があり今回も車検を通すつもりだったのですが、車やさんに呼び出され、車体を見てみればベルトもすべて切れる寸前。足回りも排気関係も満身創痍でした。 この車にレンガをのせ、松の原木や砂を運び穴窯を一緒に作り、この車の中で奥さんにプロポーズもして結婚。 それから生まれた三人の赤ん坊を順番に乗せてくれました。 今回の水戸信楽の三度の往復。半月で5500キロを走りピンチを乗り切ってくれました。 私の仕事、そして生活の大きな節目の時期を一緒に過ごした黒いバン。 本当に寂しいけどこのタイミングでお別れするのはそういう事なんだろうとおもいます。 いままで本当によく走ってくれてありがとう。励みになりますクリックよろしくおねがいします↓ ![]() にほんブログ村 |
益子の初窯個展と水戸二人展の反省会の旅
2012 / 03 / 31 ( Sat ) 一月の茨城県水戸市での二人展の反省会をしよう!と
約束してはや一ヶ月。一路私はもう通い慣れたような感覚すらある茨城、そして今回は益子へ行ってきました。 当日は強い風と雨が降っていたのですが、新しい私の相棒となったバン(でも中古車)はとても快適で ほとんど休憩も取らずに東京まで行く事が出来ました。 …しかし、東京でひどい渋滞にはまって結局時間を無駄にしてしまいました。 まず向かったのは、水戸でも笠間でもなく栃木県は益子町。 ![]() 雨の益子町の風景。暴風雨でほとんど人影もありません。 どうして早朝から益子に行ったかと言うと 益子の若手陶芸家竹下鹿丸(たけしたしかまる)氏の個展を見るため。 ![]() 会場の展示風景 彼もまた、昨年の3月11日の大震災により、窯が破壊されてしまいました。 竹下氏は一月に酒井敦志之氏と私との二人展の初日にもきてくれ、 私は初めて話をする機会がありましたが その時にも同じように被災したところから見事に復活させた酒井氏に 想いが重なるところがあったのものとおもいます。 窯の再建がなって、いよいよ初窯と言う時に 突然温度が上がらなくなってしまったとtwitterで竹下氏がつぶやいた時がありました。 信楽にいる私は何も出来ずに、ただただ画面を見守るしかできなかったのですが その様子を知った笠間の酒井氏を始め、益子の友人達が深夜一時を過ぎているのにも関わらず駆けつけ、 煙突をみんなで協力して延ばすということがありました。 友の痛みを自分のことのように感じて駆けつけ、問題を解決していった姿に ネットを通してみていても胸が熱くなりました。 ついに個展の日。 私は運良く(これはきっと笠間のあの人や水戸のあの人のお陰と思っていますが) 竹下鹿丸氏の個展の初日に伺う事が出来ました。 冷静な作家さんに見える竹下氏ですが 暴れ回りそうな強い個性の益子の原土を、きちっと落ち着いた造形のなかに納めたようなうつわは 彼の佇まいそのものの様に感じられました。 そんな彼の雰囲気がすべて籠っているように感じられる片口鉢を購入して 大満足して会場をあとにしました。 益子町を出て、相変わらずの大雨の中、一路茨城県は水戸へ。 ![]() うつわや季器楽座(ききらくざ)晴れの日撮影。 天気はあいにくの荒れ模様なのですが 店に入ると雨の借景もきれいで、本当にほっとします。 ![]() 雨の眺め。濡れたケヤキの巨木がきれいです。 いつもの様に笑顔で出されるコーヒーがとてもおいしいです。 ![]() カップは笠間の若手陶芸家沼野 秀章作 ここでコーヒーカップを使ってもらえるのは、うらやましいです。 いつか私もここで使ってもらえるようなカップを作りたい… そして夕方になる頃には 笠間へ到着。 今回は酒井氏のお宅に集まって二人展の反省会です。 …ええ、反省会なんですが今回も お料理上手の奥様のお料理をごちそうになりました。 ![]() 今話題の塩麹を使ったお料理。 はじめて塩麹というのをいただきましたが、おいしかった! そして季器楽座オーナー山口さんの手料理も。 ![]() ポトフ。おいしかった! 「調理は単純だけどおいしく作る事はむずかしいのよ」と(よ)さん談。 そのほかにも初めて食べる中華風のお料理 ![]() 具を皮に包んでいただきます。酒が進んでイケナイ… 今回はあくまでも反省会。 キチンとノートを用意して、お客様の意見やオーナーや酒井君の意見を聞きながら メモしているつもりだったのですが… ![]() 反省会をメモ 後で読み返してみるとどんどんと字が読めなくなってきて、最後は判別不能(笑) 酔いつぶれそうになっていると 「くじ引きします!」 と季器楽座山口さん。 次回の展示は個展をすることになり、酒井君と私がどちらが先に展示をするかを くじで決める事に。 二人がくじを引き結んである紙を開いてみると… ![]() 大当たり!(笑) 私は2014年10月個展をさせていただく事になりました! 酒井君はその翌年、2015年。 そして季器楽座20周年となる5年後にふたたび二人展をしよう!ということが決まりました。 いまから五年後。 いったい私はどうなっているでしょうか? しっかり手綱を締め直してこれからの作陶に向かえとの季器楽座山口さんからのエールの様に思えました。 二人展のインパクトにすっかり燃え尽きていたようになっていた私ですが この日を境に頭を切り替えていこうと思います。 酒井家のみなさん今回も本当にお世話になりました! 翌朝、酒井陶房の窯場にいってみると 再建された窯にさらに頑強な鉄骨が組まれていました。 ![]() 鉄骨が組まれた窯 そして酒井君のご好意で、 笠間焼最古の窯元久野陶園に連れて行ってもらいました。 (震災前に私が訪れた時の記事はこちら) ![]() 笠間最古の窯元 久野陶園 この久野陶園もまた、震災により江戸時代から使われてきた巨大な登り窯が破壊されてしまいました。 ![]() 地震で壊れてしまった登り窯 しかしそのようすを知った酒井君を含むたくさんの有志が 久野陶園の復活に着手。 二基あったうちの一基の登窯が、たくさんの協力者の手により解体、整理されました。 ![]() 壊れてしまった登がまに使われていたレンガの山。 そして登窯を解体して出てきたレンガを使って、あらたな登窯を作り直されたそうです。 その後、皆さんで初窯を見事に焚かれました。 そしてこの日、私が酒井君に連れてきていただいた日は なんとその初窯の窯出しの日だったのです! (酒井君山口さん本当にありがとうございました) ![]() 窯出しの様子 とてもうれしそうに初窯の窯だしをされる皆さんの笑顔をみていると 私もしあわせな気持ちになりました。 ![]() 久野陶園さんから協力された皆さんへのメッセージが貼られていました。 この初窯で焼かれた作品は まもなく開催される信楽ACTのイベントで展示されるそうです。 2012年4月13~16日 信楽ACT2012 今回、竹下氏の復活した窯による初窯展。 久野陶園を復活させた登り窯のレンガを再利用した新しい登り窯。 そして、酒井君の鉄骨が組まれ、強固な姿となった薪窯。 それぞれ、地震によって破壊され、復活されたものたちです。 しかしそれは単に、もとの状態に戻ったと言う事ではなくて、 震災前よりさらに強固に、そして何より窯の中には、被災しながらたちあがろうとする たくさんの皆さんの強い魂が吹き込まれたように感じられました。 キラキラと輝いて見えます。 震災より一年。 この節目の年に向けて、みなさんの歯ぎしりの聞こえてくるような努力の日々が この日の笑顔に繋がったのだなと本当に思いました。 深い敬意とこころからの賛辞を贈りたいと思います。 笠間、益子のみなさん素晴らしい瞬間に立ち会わせてくださり本当にありがとうございました。 そして本当におめでとうございました。 前回ブログの更新をマメにすると宣言しながら…。すみません! 懲りずにクリックよろしくおねがいします↓ ![]() にほんブログ村 |
いよいよ29日までとなりました。/「五年越しの」酒井敦志之×篠原希二人展vol.Ⅱ
2017 / 01 / 23 ( Mon ) 五年の歳月を経てついに二度目の二人展が開催中。
もし酒井君と出会っていなかったら、そしてそれを実現する 山口さんご夫妻と季器楽座がもしなかったら。 その時の自分の姿を想像するだけでもゾッとする程、 一体自分はどんなつまらないこの年月を消費してしまったかと思います。 |